ちょっとした愚痴こぼし

誰にもいえない愚痴をつらつらと書き綴った場。ここで書くことは、誰に向けたものでもないあくまで 自己満足の場。

させていただきます症候群

ここで書く愚痴の対象の人は、「させていただきます症候群」に罹患している。

会議になると、これが連発されて、違和感を感じてしまう。

今日も何個でて来るのか「させていただきます」「させていただく」が

また、なんで、そこで、「させていただく」やねん。と、ツッコミまくり

あまりにも多用するので、気になって話の内容は入ってこなくなり、

最後には「イラッ」としてしまう。

 

 

この、させていただきます症候群、NHKの解説アーカイブスの

2014年10月14日 (火) 敬語講師 山岸弘子さんの

視点・論点 「させていただきます症候群」が一番わかりやすい

 


山岸弘子と申します。「国語に関する世論調査」の結果が9月24日、公表されました。たくさんの質問項目があり、敬語についても取り上げられています。本日のテーマの「させていただきます」も取り上げられています。質問では、「あしたは休まさせていただきます」をあげ、「気になるかどうか」を尋ねています。その結果については、後ほど触れることにいたします。
「させていただきます」は、明治の文学作品にも確認される言葉です。しかし、現在、この「させていただきます」については、批判的な意見もあります。紋切型だ、慇懃無礼だ、卑屈だ、許可した覚えはない、などです。さらに、使いすぎる人を「させていただきます症候群」と呼ぶ人もいます。
「させていただます」のどこが批判されているのでしょうか。「させていただく」とは、どういう意味なのでしょうか。
 
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明鏡国語辞典には、「自分の行為が相手の許容の範囲にあるという、へりくだった遠慮がちな気持ちを表す。しばしば相手に配慮しながら、自分の一方的な行動や意向を伝えるのに使われる」とあります。
 「一方的な行動や意向を伝える」というところに問題がありそうです。
 
それでは、「させていただきます症候群」とも呼ばれ、聞き手に違和感を与えるのは、どのような表現でしょうか。代表的な例を分類してみました。
 
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1.すっり話そうよ型、2.誰を立てているの?型、3.だれに許可をもらったの?型
4.自分勝手すぎるよ型、5.「さ」はいらないよ型の5つに分けました。
 
最初に1.すっきり話そうよ型です。
 
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「お送りさせていただきます」「報告させていただきます」「意見を言わせていただきます」はそれぞれ、「お送りいたします」「報告いたします」「意見を申し上げます」と言い換えればすっきりします。
 
2.誰を立てているの?型です。
 自分の上司であっても、社外の人に対して話すときには、上司を立てて話しません。「させていただく」は、「させてくれる人」を立てる敬語ですから、次のような表現をすると、社外の人の前で自分の上司を立ててしまうことになります。
 
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社外の人に対して言うときには、
経理を担当させていただいています」ではなく、「経理を担当しております」
「○○は、休ませていただいています」ではなく、「○○は休んでおります」
「課長をさせていただいています○○です」ではなく「課長の○○と申します」
と言います。社外の人への敬意を表現できます。
 
3.だれに許可をもらったの?型
「させていただく」は、だれかの許可を得て行動するときに使う言葉ですから、次のような言い方は違和感を与えます。
 
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「公園で走らせていただいています」「合格のために努力させていただきました」「土曜日は高原でくつろがせていただきました」などは、「走っております」「努力いたしました」「くつろいでまいりました」と言い換えれば違和感を与えません。
 
4.自分勝手すぎるよ型
相手に迷惑をかける行為と「させていただきます」という言葉は合いません。自分勝手で一方的な印象を与えます。次の用例は、飲食店の店長から聞いた例です。
 
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「突然ですが、今日でバイトを辞めさせていただきます」
「店長、バイトの時間を変更させていただきます」
「用ができたので、帰らせていただきます」
突然、きっぱり宣言するように言われ、大変驚き、困まったということでした。この例は、言葉の問題と同時に仕事に対する姿勢や態度、一緒に働く人への配慮に問題があることはいうまでもありません。日数の上でも十分な余裕をもって、理由や事情を述べたあとに、「よろしいでしょうか」「お願いできますでしょうか」と許可を求める姿勢がほしいところです。
 
5.「さ」はいらないよ型です。
本日、最初にあげた、文化庁の調査にあった例です。「あしたは休まさせていただきます」という表現について気になるかどうか質問したところ、「気になる」人が54.5%で、「気にならない」人が39.8%でした。
「休まさせていただきます」という表現は、不要な「さ」が入った「さ入れ言葉」とも呼ばれています。
よく使われているのは、「休まさせていただきます」のほか、「読まさせていただきます」「歌わさせていただきます」「作らさせていただきます」などです。
 
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それぞれ、「読ませていただきます」「歌わせていただきます」「作らせていただきます」が、文法上は適切な言い方です。5段活用には、「させていただきます」でななく、「せていただきます」が接続するからです。
「さ」を入れたほうが丁寧だと思って、あえて使っている人もいますが、この使い分けで迷っている人も見受けます。迷ったら活用を点検してみましょう。
 
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「読まない」「歌わない」など、「ない」の前が「あ」の動詞には、「せていただきます」がつきます。
「よまーない」「うたわーない」と伸ばしてみると、5段活用かどうかがわかります。
以上、違和感を与える代表的な例を5つに分類してお伝えしました。
 
なぜ、「させていただきます症候群」と呼ばれるほど、「させていただきます」を多用する人が増えているのでしょうか。理由は、いくつか考えられますが、理由の一つは、「させていただきます」は便利な言葉だということです。「いたします」をつけて謙譲語にできない動詞があります。たとえば、「帰ります」「始めます」「終わります」には、「いたします」をつけることができません。日常的に使う言葉であるだけに、「謙譲語で表現したい」と思うのが自然な気持ちです。そこで、「させていただきます」が登場します。「させていただきます」は、考える余裕がないとき、言葉を選ぶ余裕がないときにも使いやすい言葉です。
 
服装を例に考えてみましょう。忙しく、服装の組み合わせを考える余裕がないとき、黒のスラックスは便利です。上半身とのバランスを考えなくても、黒のスラックスを身に付ければ無難なスタイルが完成します。「させていただきます」の場合は、無難なスタイルが完成しているわけではないのに、体裁が整ったように自分が感じてしまうのです。
 
先ほどお話しした5つの型のように、「させていただきます」は、使い方によって違和感を与えてしまう場合もあります。自分にとって便利な言葉でも、場面に合わない使い方をすると、相手に気持ちよく受け止めてもらうことができません。
 
言葉の好みは、食べ物の好みと同じように人それぞれ異なります。自分の好みを押し付けるのではなく、相手が受け取りやすい言葉を、宝物を渡すように丁寧に届ける、気持ちが伝わる声で届ける、という配慮が関係を築く第一歩となるでしょう。

 

ほんまに、このまま、丸っと対象者に投げつけたい。